単語帳も暗記シートも試したのに、なかなか点数が上がらない。工夫している分、悩みますよね。今の生活で勉強に使えている時間も一緒に見てみませんか。本人の頑張りだけに頼らず、周りが支えられることも探してみましょう。
そんなとき、僕が一度確かめたいのは、勉強法だけではありません。
普段、自分で覚えたり、問題を解いたりする時間が、どれくらいあるか。
方法を変えることに気持ちが向いていても、その方法で繰り返し取り組む時間までは、十分に取れていないことがあります。
この記事の目次
作った単語帳を、どれくらい使っただろう
単語帳や暗記シートを作ることには、覚える内容を整理する役割があります。ノートをまとめることで、分からなかったところに気づくこともあるでしょう。
ただ、作り終えたところで、勉強が一区切りになっていないかは振り返ってみたいところです。
単語帳を作ったあと、答えを隠して何度思い出そうとしたか。まとめたノートを閉じても、同じ問題を解けるか。間違えた問題を、別の日にも確かめたか。
「この勉強法は合わなかった」と判断する前に、その方法を使って実際に取り組む機会が、どのくらいあったかを見てみてほしいのです。
新しい方法を探すことと、今ある教材で練習を続けること。その両方に時間を使えているでしょうか。
学習時間と成績には、関係がある
学習時間と成績の関係は、調査でも確認されています。
2024年度の全国学力・学習状況調査では、学校外での平日の勉強時間が長い中学生ほど、教科の平均正答率が高い傾向が報告されています。ここでいう勉強時間には、塾や家庭教師、インターネットで学ぶ時間も含まれます。国立教育政策研究所・調査結果の概要、47ページ
平日の学習時間と平均正答率
2024年度 全国学力・学習状況調査/中学3年生
グループ平均の比較です。時間を増やした効果を示す図ではありません。
- 全くしない
- 国語47.5%数学38.4%
- 30分より少ない
- 国語53.8%数学45.9%
- 30分以上、1時間より少ない
- 国語57.3%数学50.7%
- 1時間以上、2時間より少ない
- 国語59.7%数学54.5%
- 2時間以上、3時間より少ない
- 国語62.0%数学58.5%
- 3時間以上
- 国語62.9%数学60.8%
平均正答率(%)。棒の長さは0〜100%の共通目盛りです。
時間は、学校の授業以外の1日当たりの勉強時間です。塾・家庭教師・インターネットでの学習も含み、本人が回答しています。
異なる生徒のグループ平均を比べた図です。同じ子が時間を増やした効果を測ったものではなく、時間を増やせば必ず成績が上がるとはいえません。家庭環境や学び方などの違いも含まれます。
定期テストの点数や、平均点に届くための必要時間を示すものではありません。原資料の6つの時間区分と平均正答率を使用しています。
出典:調査結果の概要47ページ・質問21もちろん、「時間を2倍にすれば点数も2倍になる」という意味ではありません。この調査だけで、一人の子が時間を増やしたときの効果まで分かるわけでもありません。
東大・ベネッセの調査データを使った別の分析でも、小中学生ともに、学習時間が最も短い群は、その次の群より成績が低いという差が確認されています。一方、中学生では、学習時間が長い側の群同士には、統計的にはっきりした差が見られない比較もありました。研究者による分析解説・2024年
こうした結果を踏まえて、僕は、普段の学習時間がかなり少ない場合には、まず取り組む機会を確保することから考えたいと思っています。
テスト前だけ勉強している。普段は宿題を出すところまでで、覚え直したり解き直したりする時間がほとんどない。そうした状態なら、方法を次々に変えるより、日常の中に勉強する時間をつくることが、最初の課題かもしれません。
先生がいない時間に、何をしているか
塾へ行っている。家庭教師の先生にも教わっている。
それでも伸び悩んでいるときは、授業と授業の間を、どう過ごしているかも見てみたいところです。
先生の説明を聞くと分かる。一緒に解けばできる。でも、数日後に一人で解こうとすると、手が止まる。そんな違いがあるなら、次に必要なのは、自分で思い出して使ってみる時間だと思います。
友達との勉強でも、同じことを確かめられます。教えてもらったあと、自分でも解いてみたか。友達の説明を聞いて終わっていないか。お互いに問題を出し合うなど、自分が考える番をつくれているか。
ここでいう「一人での勉強」は、誰にも頼らず、全部自力で解決するということではありません。
自分で考え、答えを出し、どこまでできるかを確かめる時間のことです。
止まったところには印を付けて、次の授業で聞いていい。先生には、「次までに何をするか」「どこで止まったら質問するか」まで、一緒に決めてもらっていいと思います。
楽しくない勉強を、どう続けるか
ここまで読んでも、「時間を増やした方がいいのは分かっている。でも、勉強が嫌だから困っている」と感じるかもしれません。
勉強を、いつでも楽しくするのは難しいと思います。覚えにくいこともあるし、同じところで何度も間違えると、嫌にもなります。
だからこそ、「楽しくないけど我慢する」で止めずに、もう少し具体的に考えてみてほしいのです。
少しでも面白く取り組むには、どうしたらいいか。面白くできないなら、負担を小さくするには何を変えられるか。
例えば、覚えた単語を家族に問題として出してもらう。できるようになった問題に印を付ける。一度に全部終わらせようとせず、今日取り組む範囲を決める。
それでも始めにくければ、最初に開くページを先生と決めておく。スマートフォンが気になってしまうなら、取り組んでいる間は別の場所に置いてみる。
どれが続けやすいかは、人によって違います。勉強時間を増やすために、気持ちだけでなく、始め方や環境も変えてみる。その工夫は、勉強法を探すことと同じくらい考える価値があると思います。
「やらなきゃ」の理由も、言葉にしてみる
そもそも、なぜ勉強するのか。
「学校の課題だから」「親に言われるから」という理由しか浮かばない日もあるでしょう。すぐに大きな夢や、立派な目標を見つける必要はないと思います。
次のテストでは、解ける問題をもう少し増やしたい。授業で分からないまま座っている時間を減らしたい。進学先の選択肢を残しておきたい。
そんな身近な理由でも、自分にとって意味があるなら、大切にしていい。
必要だと分かっていても、取りかかれないことはあります。そのときに、「分かっているなら頑張れ」で終わらせず、何が嫌なのか、どこが重いのかを誰かと一緒に考えられたらと思います。
考え方を変えるだけで、すべて解決するわけではありません。ただ、自分が取り組む理由や、続けやすい条件を考えることは、普段の学習時間をつくる助けになるのではないでしょうか。
時間を確保できたら、勉強の中身を見直す
すでに時間を取って取り組んでいるのに、結果が変わらない場合もあります。そのときまで、さらに時間を増やせばいいとは思いません。
問題の説明を理解できているか。答えを見ながら進めることが多くなっていないか。今の自分には難しすぎる問題ばかり選んでいないか。どこで間違えたかを、確かめられているか。
ここからは、取り組み方を具体的に見直していく必要があります。
平均点を境に、量と質がきれいに切り替わるわけではありません。最初から説明や助けが必要なこともあります。
それでも、いろいろな方法を試して疲れてしまったときには、新しい方法を探す前に、今の一週間を振り返ってみてほしいのです。
単語帳を作ったあと、それを使う時間はあったか。先生に教わった問題を、自分でも解いてみたか。テスト前以外にも、勉強に触れる日があったか。
僕は、先生には授業中に教えるだけでなく、その時間を一緒につくる役割も担ってほしいと思っています。
次の授業までに、自分で何をしてみるか。難しかったら、どこを相談するか。
いろいろ試してきた経験を、そこで終わりにせず、次の一週間の取り組みにつなげていけたらと思います。
参考資料
- 文部科学省・国立教育政策研究所『令和6年度 全国学力・学習状況調査の結果(概要)』
2024年度調査。47ページ左下、質問21「平日の勉強時間」のクロス集計。中学校国語・数学の選択肢別平均正答率を図に使用。調査対象は中学3年生。 - 大久保心『学習時間と成績はどのような関係にあるのか』
ベネッセ教育総合研究所、2024年10月15日。2015〜2021年の親子調査データを用いた分析1を参照。
出典確認日:2026.10.22。取り組み方についての提案は、上記の調査結果と運営者の経験を踏まえた考えです。