計算は進むのに、図形になると手が止まる。何度説明しても「分からない」と言われると、見守る側も困ってしまいますよね。本人も、分かりたいのにうまくいかず、悔しいのかもしれません。

そんなとき、問題を増やす前に変えてみたいのが「伝え方」です。図を見る場所、説明の言葉、手を動かす順番。その子が考えやすい入口を、一問から探してみませんか。

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「図形が苦手」を、もう少しだけ分けてみる

たとえば、箱の展開図。紙に描かれた図だけでは答えられなくても、実際に折ってみると「この面とこの面が向かい合う」と説明できることがあります。

反対に、答えは口で言えるのに、定規で線を引くところで疲れてしまう子もいます。

同じ不正解でも、必要な手助けは違います。見るところが分からないのか、頭の中で形を動かしにくいのか、描く作業が難しいのか。「もっとよく見て」だけでは届かない理由を、先生と一緒に確かめたいところです。

国立特別支援教育総合研究所の資料でも、図形の難しさについて、形の捉え方、頭の中での操作、運動面など、複数の要因を考えて支援することが示されています。

図形の苦手さだけから、特定の検査結果や発達の診断を推測することはできません。

WISC-Vの「視空間」は、学び方を考える手がかり

WISC-V(ウィスク・ファイブ)は、子どもの認知面の特徴を調べる個別の知能検査です。「視空間指標(VSI)」は、その中の主要指標のひとつ。

形の細部や配置、部分と全体の関係などを扱う力を考える手がかりになります。視力を調べる検査とは異なります。

検査の出版元は、ひとつの数字だけでなく、複数の指標を扱う構成を示しています。

保護者だけで「低いから図形は無理」「高いから絵なら全部分かる」と決めず、検査を担当した専門家に、結果の意味と普段の学習とのつながりを尋ねましょう。

聞くなら「この子は何ができませんか」より、「どんな示し方なら理解しやすそうですか」「学校の課題では、どんな配慮を試せますか」と相談すると、次の一歩につなげやすくなります。

検査を受けていない子にも、実際の困りごとに合わせた学習の工夫は試せます。

今日の一問で試せる、3つの工夫

以下は診断や点数の改善を目的にした訓練ではなく、取り組みやすい説明を見つけるための例です。全部を同時に変えず、一つずつ試しましょう。

見る場所をひとつにし、動きを言葉にして、必要に応じて実物を動かす3段階の支援例

① 見る場所を決める

図に書き込みが多いなら、今考える一部分だけを指で示します。問題全体を隠すと関係が分かりにくくなる子もいるので、必要な情報は残します。

マーカーを何色も増やすより、「まず、この辺の長さを確認しよう」と焦点を一つにしてみてください。

② 形と説明の言葉をそろえる

「こっち」「こうする」だけでは、どこを指しているか迷うことがあります。指を添えながら「三角形の、この下の辺」「ここを動かさずに回す」と説明してみます。

言葉が多いと負担になる場合もあるので、本人が分かる短い表現を選びます。

③ 頭の中だけで頑張らせない

展開図なら紙を折る、回転なら切った形を机で動かす、といった方法があります。まず実物で確かめ、次に図と並べてみましょう。触れる教材が必ず合うとは限りません。

「これがあると考えやすい?」と本人に聞くことも大切です。

国立特別支援教育総合研究所は、言葉を添えることや具体物を操作することなどを紹介しています。ここでの声かけは、その考え方を家庭学習の一場面に置き換えたlumeraの提案例です。

ノートが整わない日も、理解と分けて見る

「きれいに写す」と「内容が分かる」は、同じ作業ではありません。図を写すだけで時間が終わるなら、先生が用意した図に必要な長さや角度を書き込む方法もあります。

まず口で説明してもらうと、描きにくさの陰に隠れていた理解が見えることもあります。

学校の提出物やテストでは、使える補助や評価方法が決まっている場合があります。家庭で役立った方法を持ち寄り、学校では何ができるか担任の先生と相談しましょう。

すべての課題で作図を省くのではなく、その時間に何を学ぶのかを確認して調整します。

家庭教師には、点数より「実際の一問」を

「視空間が苦手です」とだけ伝えるより、止まった問題と、説明を変えたときの様子があると、先生は次に試す方法を考えやすくなります。

検査結果を共有する場合は、本人・保護者が共有してよい範囲を確認し、学習支援に必要な情報を選びましょう。

困った場面、試したこと、次に確かめたいことをまとめる、先生への共有メモの例

授業のあとは「一人で分かった」「説明があれば分かった」「まだ難しかった」を分けて残すと、次の授業で同じ説明を繰り返すだけになりにくくなります。

できなかった問題の数より、どんな手助けが届いたかを共有してみてください。

遊びは、点数を上げる宿題にしなくていい

本人が好きなら、積み木や折り紙を一緒に楽しむ時間があってもいいですね。ただし、それを続ければVSIの得点が上がる、図形の苦手さが治る、と約束することはできません。

検査の課題をまねて練習するより、普段の学習で負担が減ったかを見てみましょう。

見えにくさ、目の疲れなどがある場合は、学習の工夫だけで抱えず、必要に応じて眼科などへ相談してください。すでに検査や支援を受けている場合は、その担当者の助言と合わせて考えます。

「どこなら分かる?」から始める1対1

lumeraが大切にしたいのは、分からないところを責めず、同じ問題を一緒に見ながら、考え方の途中まで確かめることです。

家庭教師は診断や治療をする役割ではありませんが、学習の場で説明を変え、本人の反応を確かめることはできます。

初回面談では、困っている問題を一つ用意して「どんなふうに説明してくれますか」と聞いてみてください。専門的な支援経験は先生ごとに異なります。

プロフィールと実際の会話で、質問しやすいか、分からないと伝えられそうかを確かめてから選べます。

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参考資料

2026年11月2日確認。検査の基本情報は出版元、学習支援の考え方は公的な教育資料を参照しました。声かけと共有メモは編集部による例で、特定の子どもへの検査解釈ではありません。

学び方を整理するための要点と比較

要点まとめ

図形の苦手さを検査の数字だけで決めず、実際の一問で、見る・考える・描くのどこに負担があるかを確かめます。説明や教材を一つずつ変え、本人が考えやすい方法を探しましょう。

図形で止まったときの確認メモ

図形で止まったときの確認メモ
見る注目する線や形が分かるか
考える実物を動かすと関係を説明できるか
描く答えは言えても書く作業に困っていないか

よくある質問

VSIだけで学び方が決まりますか?

決まりません。結果の解釈は検査担当者に相談し、普段の課題の様子と合わせて考えます。

遊びで検査の点数は上がりますか?

この記事では得点の改善を約束しません。楽しめる活動と、学習上の困りごとへの支援を分けて考えます。

先生へ何を共有しますか?

困った一問と、試して分かりやすかった説明を、共有してよい範囲で伝えてください。